私とキミと、彼と
「風間くんってサッカー部でしょ?
いつもすっごく楽しそうにサッカーしてるから、なんか印象に残っちゃって。」
当時、彼はサッカー部で私は陸上部。
同じグラウンドで活動するので、サッカー部の練習はよく見えていた。
その中でも特に私の目を引いたのが、彼。
出会った頃はまだ私よりも身体の小さい男の子だった。
上級生はもちろん、同い年の男の子と比べても大きな体格差。
それでも、誰よりも一生懸命ボールを追いかけるその姿が印象的だった。
「えー、見られてたの?
はっずー…。」
「あははっ。風間くん顔真っ赤だ。
もしかして照れてる?」
「ちょ…からかうの禁止。
…言っとくけど、俺だっていつも望月さんが走ってるところ見えてるからね?」
「へー、見てくれてるんだ?」
面白がって顔をのぞき込む私に、さらに赤くなった頬を必死に隠そうとする彼。
同級生の男の子のことを、初めて〝可愛い〟なんて思った。