私とキミと、彼と
「ほら、乗って。」
私の目の前に背を向けてしゃがみこむ彼。
乗るって……背中に…?
「じ、自分で歩けるよっ!」
「さっき、立っとくだけでもしんどそうだったのに?
…早く乗らないと無理矢理抱っこするけど…
もしかしてそっちの方がいい?」
「お、おんぶでお願いします…。」
抱っこされるよりはね…。
うん。彼なら本当にやりかねないし。
大人しく彼に甘えておぶってもらうことにした。
「…言っとくけど、私重いよ?」
「大丈夫。俺、これでも一応男だし。」
そんな風に笑う彼だけど…
男の子ってわかってるから、こんなに緊張するんだよ。
ドキドキしながらそっとその背中に身体を預けると、彼は簡単に私を持ち上げた。
周りの視線が少し痛いけど…それよりも背中から伝わる彼の温もりに私の意識は集中していた。