私とキミと、彼と
「え…風間くんが走るって正気なの!?」
「うん、最初からそのつもりだった。」
私の問いに、彼は当たり前のように答える。
先程までクラスメイト達に向けられていた怒りはもうなく、優しい声色だった。
「でも…風間くんって、元々1番長い距離を走る予定だよね?
…しかも、順番も私の2人後ろとか…」
元々自分が走る距離に加えて、私が走る予定だった距離も走るなんて…
しかも私の分を走った後、休憩する間もなく自分の分を走らないとならない。
「サッカー部の体力舐めないでよ。
俺のポジションMFって言ってさ、1番走るポジションなんだよね。
…だから大丈夫。絶対区間賞とってくるから。」
私を安心させるために、そんな約束までしてくれた彼。
おぶられているから彼の顔はよく見えないけど、きっといつものような明るい笑顔を見せてくれているんだろうな…
私はそんな彼の背中にそっと顔を寄せた。
…いつの間にか私より大きくなった背丈。
逞しくなったその背中。
あぁ、だめだ…。…好き。
もう、友達としてなんて見れないよ。