私とキミと、彼と
「中学の同級生です。」
「そうだよな、望月?」と作り物の笑顔で返答を求める彼に、私は小さく頷く事しか出来なかった。
「へー、すっげー偶然だな!
…つーか、何?〝きょんちゃん〟って…(笑)」
からかうように笑った〝陽キャさん(仮)〟に、彼は少しだけムッとして…
「璃汰うるさ。
…中学の頃はみんなそう呼んでたんだよ。」
…みんな呼んでた、か…。
彼がついたその嘘は、まるで私にだけわかるように伝えられたメッセージのようだった。
…ここにいるメンバーには、私との本当の関係を知られたくないのだろう。
まぁ…それもそうか。
私は今、凌哉くんの彼女としてここにいる。
私との関係が知られれば、仲間との友情を壊しかねない事態になるだろう。
…私にとっても、今誰よりも好きで大切にしたい人は凌哉くんであって…
好きな人に元彼の存在を知られたいわけではない。
だから私は、咄嗟にきょんちゃんの話に合わせることにした。
私と彼の関係は〝元恋人〟ではなく、〝ただの中学時代の同級生〟。