私とキミと、彼と





「あの…助けてくださってありがとうございます。

もう大丈夫なので…引き止めてすみませでした。」







助けてもらったお礼と迷惑をかけた謝罪を述べて、深々と頭を下げる。








「え…?どう見ても大丈夫じゃないけど。」






「…大丈夫ですっ!

これ以上迷惑かけるわけにはいきませんし!」







堂々と〝大丈夫〟と言い切る私に、彼は眉を寄せ溜息をついた。







「ここであんたを置いて帰る方が後味悪いだろ。

…いいから、もう1回足上げてみな。」







「1、2、3」なんて合図されたら、普通の人は無意識に従ってしまうだろう。

私も、思わず足に力を入れていた。


それでも、全くヒールが抜ける気配なんてないのだけれど…

これ以上足止めするのは申し訳ないと思いつつ、この状況をどう打開すべきか真剣に考える彼の姿に見惚れてしまう。







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