私とキミと、彼と
「えっと…一条さん…。
よろしくお願いします。」
小さく頭を下げる私に、彼は優しく笑った。
「〝春陽〟って呼んでくれたら嬉しいな。」
出会ったばかりの男性を下の名前で呼ぶなんて慣れないけど…
そんな王子様スマイルを見せられたら、呼ばないわけには行かないよね。
「…春陽さん。」
「うん。よろしくね、千夏ちゃん。」
この人から出る柔らかい雰囲気のおかげなのか…
なんだか、お兄ちゃんができたみたいで落ち着くといか…温かい気持ちになる。
〝春陽〟という名前がよく似合う、陽だまりみたいな人だと思った。