私とキミと、彼と
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連れてこられたのは、先程までいた場所のすぐ隣の部屋。
さっきの部屋より少し狭いけど、3人がけのソファと小さなローテーブルだけが置かれたスッキリとした空間だった。
「ここ、俺の部屋。
一応俺以外は使えないってことになってるから。」
「え、私入ってもいいの?」
「千夏ならいつでも大歓迎。」
私の頭を撫でながら優しく微笑むその表情に、胸がキュッと高鳴るのを感じた。
…急に〝年上モード〟に切り替えられると、心臓に悪いというか…。
さっきまでの仲間とはしゃぐ無邪気な凌哉くんも可愛かったけど、この大人っぽい彼も好き。
私の手を引いて部屋の奥へと進んでいく彼の背中に見惚れていると、ふとあることに気づく。
…あれ…?
…良く考えれば、何気に密室で2人きりって初めてなのでは…?
───〝そろそろ千夏サン独り占めしたいから…
しばらく隣の部屋には入ってこないように。〟
…あぁ…。どうしよう…。
さっきの凌哉くんの言葉を思い出して、余計にこの状況を意識してしまう。