私とキミと、彼と
「ほら、千夏。
こっち座りな。」
ソファに腰掛け、自分の隣を数回叩く。
そして私の顔を覗き込むなり目を丸くし、心配そうに私の頬にそっと触れた。
「…は?…え、赤…。
どうした?体調悪い?」
「えっ!?…いや、違くて…」
慌てふためく私を見て、首を傾げる彼。
部屋の中に流れる沈黙。
「───…独り占め、するの…?」
その静かな部屋に、自分のものとは思えない程甘ったるい声が響いた。
…自分でも、何故そんなことを口走ったのか理解できない。
ただ熱に絆されていただけなのか…それとも何かほかに理由があったのか…。
我に返ると途端に恥ずかしくなって、すぐに撤回しようとするけど…
私を捕える真っ直ぐな眼差しがそれを許さなかった。