私とキミと、彼と
「ねぇ、凌哉くん。」
「ん?」
「そこ、座ってもいい?」
私が彼の膝の上を指差すと、彼は一瞬驚いたような顔をして…
そして優しく笑って頷いた。
「おいで。」
足を大きく広げて、その間に空いた隙間をポンポンと叩く彼。
おそらく、そこに座れという意味なのだろうけど…
私はそれを無視して、向かい合う形で彼の膝に跨ると、彼の首の後ろにギュッと腕を回した。
彼の膝の上に乗っているせいか、いつも見上げるばかりの彼の顔がすぐそこにあって…
ピクリと揺れる肩や、生唾を飲んだ時の喉仏の動きが直で伝わる。
「ち、千夏…!?」
想定外の私の行動に戸惑う彼。
それもそうだろう。私だって、普通だったらこんな甘え方はしない。
…でも、〝好きだな〟とか〝愛おしいな〟って思ったらどうしてもくっつきたくなったんだもん。