先輩を可愛い、かわいいと言っていいのは僕だけです
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遡る事、数時間前。
園芸部のわたしは始業時間より早く登校して水やりをしていた。梅雨があけ、これからますます日差しが強くなる中、ヒマワリはすくすく育つ。
7月に入れば元気な花を咲かせるだろう、青空を見上げていると運動場から「わあっ!」と歓声が上がった。
「あれサッカー部ですか?」
「うん、大会に向けて朝練してるみたいだよ」
「練習なのに凄いギャラリーですね」
一緒に作業する本宮君は黄色い声援を見やり、呟く。
本宮君はひとつ下で今年唯一の部員。こうして朝の水やりを手伝ってくれたり、花壇の手入れも欠かさない期待のホープだ。
「涼介のファンクラブじゃないかな? あいつ、あんなんで女子に人気あるみたいだし」
「……あんなって。あの人をそんな風に言うのは先輩くらいじゃないですか?」
「あはは、幼馴染みだし? みんながイケメン、イケメンって騒いでても見慣れちゃってるというか」
「そうなんですね。僕は先輩がどんなに可愛くても見慣れはしないですけど」
さらり、真顔で言う本宮君。
実は本宮君、幼馴染みの涼介と女子の人気を二分しているのだけれど、わたしに「可愛い、かわいいですね」など挨拶するみたいに繰り返す。
遡る事、数時間前。
園芸部のわたしは始業時間より早く登校して水やりをしていた。梅雨があけ、これからますます日差しが強くなる中、ヒマワリはすくすく育つ。
7月に入れば元気な花を咲かせるだろう、青空を見上げていると運動場から「わあっ!」と歓声が上がった。
「あれサッカー部ですか?」
「うん、大会に向けて朝練してるみたいだよ」
「練習なのに凄いギャラリーですね」
一緒に作業する本宮君は黄色い声援を見やり、呟く。
本宮君はひとつ下で今年唯一の部員。こうして朝の水やりを手伝ってくれたり、花壇の手入れも欠かさない期待のホープだ。
「涼介のファンクラブじゃないかな? あいつ、あんなんで女子に人気あるみたいだし」
「……あんなって。あの人をそんな風に言うのは先輩くらいじゃないですか?」
「あはは、幼馴染みだし? みんながイケメン、イケメンって騒いでても見慣れちゃってるというか」
「そうなんですね。僕は先輩がどんなに可愛くても見慣れはしないですけど」
さらり、真顔で言う本宮君。
実は本宮君、幼馴染みの涼介と女子の人気を二分しているのだけれど、わたしに「可愛い、かわいいですね」など挨拶するみたいに繰り返す。