お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
「メリンは自分があんたの呪いをなんとかしたいって思ってるはず。でも自分の呪いなんだからあんたがなんとかするべきだとあたしは思ってるわけ。なんか文句ある?」
事の顛末を話し終える頃には、何に対して怒っているのかわからなくなったバイオレットがぶっきらぼうに言い放った。
「いや。俺自身もこの呪いは自分でなんとかしたかったし、メリンの枷にしてはいけないと思っていたから助かる。メリンも最初から俺に月の妖精のことを教えてくれたら良かったのにな」
フィオンは不思議と心が晴れていた。
わからなかったことがはっきりしたということもある。
メリンの気持ちが自分から離れていない事にも安心していた。
それと同時に、メリンがどんな思いでフィオンの元へやってきたのか、もっとよく考えなければならなかったと反省していた。
メリンはまだ人間の姿になりたいと思っているだろうか。そして、フィオンと一緒に過ごしたいと思ってくれているだろうか。
そんなことを考えて、フィオンはそれどころではなかったと思考を切り替える。
まずは、月の妖精に会い、メリンの寿命を守ると共に自分の呪いを解いてもらわなければ。