お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜

 胸がいっぱいで言葉が出ない私は、頷くことしかできないでいる。そんな私の頬を両手で包み、フィオンは優しく口づけをくれた。
 呪いを解く時のキスは、あれはあれで良かったけれど思っていたキスとは違ったし恋人同士のものという感じではなかったから、このキスがフィオンの言う想い合っているもの同士ですることなのかなと嬉しくなりまた涙が溢れてしまった。
 私の涙をフィオンがすくい、少し眼差しが揺れる。
「呪いを解く時のキスは思っていたのと違ったけれど、今のキスは私がずっと欲しかったものなんだなと思ったら嬉しすぎて」
 思わず涙の言い訳をすると、今度は強くぎゅっと抱きしめてくれる。
「これからは、自分を犠牲にしないでくれ。問題があれば一緒に解決していきたいから」
 私の突っ走る性格がフィオンを不安にさせてはいけないとこれからは慎重に、フィオンになんでも話していこうと心に誓う。けれど、譲れないものもある。
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