お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
とうとう満月の夜がやってきた。
今回はトンボの羽の妖精が案内してくれるから安心だ。トンボの羽の妖精はお礼の薬草をカゴいっぱいに持っている。
月が山の端から顔を出した。
どんどんと空にのぼっていく月を横目に、トンボの羽の妖精の後を追って湖面を飛ぶ。水面に揺れる月はゆっくりと湖面を滑っていく。
すると湖の真ん中あたりに辿り着いたとき、湖面にぽうっと光が灯った。
「ほら、あそこだよ」
そう言ってトンボの羽の妖精は、その光の中に飛び込んだ。
「えっ!」と私とバイオレットは顔を見合わせる。でも置いていかれるわけにはいかない。私も意を決して飛び込んだ。後ろからバイオレットがついて来るのがわかった。