お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
「それで、これからどうするんだ?」
「どうするもなにも、フィオンのそばにいるわ」
「どこに滞在するとか、当てはあるのかと聞いているんだが……」
フィオンが困った顔をした。私がそばにいるっていけない事なの?
「どこに滞在するかなんて、フィオンと一緒にいるために来たんだから。ここに住むつもり。だめかな」
「そうかぁ」
フィオンは頭を抱えた。
やっぱりすごく困っている。
「ねぇ、もしかして、人間界ではとても失礼な事だった?」
「失礼というか、なんというか。君は妖精だし問題ないけれど……」
なぜだか言葉を濁すフィオン。その時見守っていたおじいちゃんがフィオンの後ろに来た。
「フィオンさま。せっかく妖精が人間の姿になってまでやってきてくださったのですから、お屋敷にいていただいてはどうでしょう。妖精がいるお屋敷は幸運を呼ぶとも言いますし、フィオンさまにも良い方向に動くのではないでしょうか」
「そうだろうか」
右腕をぎゅっと握りしめたフィオンの表情が暗くなり、それが気になった。なにか気掛かりがあるのだろうか。