お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
そんなわけで次の日から早速、屋敷のお掃除係に任命されたのだった。
私が目を覚ました時にいた女の子はメイドのマリーで私に仕事を教えてくれる先生だ。
マリーの用意してくれたメイドのお仕着せを貸してもらい、早速仕事に取り掛かる。掃除などしたことがないけれど、人間の道具が面白くて掃除は思った以上に楽しい仕事だった。
半日もすればクタクタのヘトヘトになってしまい、マリーがおじいちゃんに話をしてくれて休ませてもらうことになった。
おじいちゃんは私が妖精だということは他の人間には内緒にしておくようにといって、フィオンが自分の友達の親戚で田舎から都会に勉強に来たということにすればいいと言ってくれた。だからマリーには私は妖精だということは内緒だ。
それにしたって、これでは人間界の勉強どころではないし、フィオンに全く会わないまま一日が終わってしまう。
今日は仕事の初日だから仕方がないと諦める。明日からまた頑張ればいいのだ。
バイオレットにも寝るのが一番と庭に咲いていた花を渡され蜜を舐める。妖精の姿だと花一輪で十分満たされたのに、人間の姿だと全然足りない。体が大きいと食べる量も違うということをここで改めて実感する。