お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜

「体調が良くないみたいだな、入ってもいいか?」
「どうぞ」
 部屋に入るのにも許可を取るなんて、人間は面倒ね。入るといってもドアが半開きだしドアの前から動こうとしないフィオン。もっとそばに来てくれればいいのに。
「リーアムと話して、朝食は時間が合えば一緒にということだったが昨日も顔を見なかったし心配だったから様子を見にきた」
 昨日会えなかったことを気にしてくれている!
 それだけで私は元気になれる、はずなのに体が重いのは変わらない。
「ありがとう。人間の体ってとても重たいなって実感しているところよ」
 強がりを言ってしまった。けれど、フィオンといられるチャンスだ。たくさん話がしたい。
「フィオンに人間界のことをたくさん教えてもらいたいの。今聞いてもいい? お仕事忙しい?」
 マリーにも「フィオンさまはお仕事がお忙しい」と聞いていたから、日中は部屋からあまり出てこないのだと聞いていた。気遣いができる方が好印象なのは、人間も妖精も変わらないよね。
「仕事は、まぁ大丈夫だ。君はもう少しベッドで横になった方が良さそうだし、朝食を持って来させよう」
 そう言うと、廊下へ顔を出す。廊下に誰かいるようで、私の分の朝食を持ってくるように言っている。
「リーアムが持って来てくれるよ。腹が減ってはなんとやらだからな。まずは食事だ。元気になるものもならない」
「せっかくだから食事のマナーも教えてもらいたいな」
「もちろん」
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