お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
マリーの部屋は私が使っている部屋よりもとっても狭かったけれど、シンプルで清潔感のある綺麗な部屋だった。
「やっぱりメリンさんはお客さんなのに服も無いっておかしいな〜とは思っていたんだけどね。押しかけ女房になるからって荷物も持たずに家出したんだね。フィオン様愛されてるぅ」
マリーが勝手な妄想を繰り広げているけれど、それもあながち間違いではないので否定もできない。
服も持たずに屋敷に押しかけるのは、人間にはやはり迷惑行為だったのだ。
フィオンに謝らなければ。そしておじいちゃんにもお礼を言わなければ。
「明日、フィオン様と服を見に行くって聞いたよ。デートだね!」
なにやらニヤニヤしながら私をみるマリー。楽しそうでなによりだ。私の味方になってくれる存在は、私も素直に嬉しい。人間の友だちが出来たと思ってもいいのだろうか。
「マリーと買いに行くように提案されたけれど、私がフィオンと一緒に行きたいと言ったの。やっぱりデートって言っていいのかな」
なんだかお腹がそわそわする。他の人にデートと言われると、また嬉しい気持ちになるものだ。
「それはもうれっきとしたデートです。自信を持って!」