お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
今日は失敗だわ。
フィオンがうなされてさえいなければ、キスできていたはずなのに。
しょんぼりしながら部屋に戻るとバイオレットが「その様子じゃだめだったみたいだね」と両手を挙げた。
次の日の朝、フィオンの朝食に突撃しようとすると、フィオンはすでに済ませた後だった。
どうやら本当に怒らせてしまったようだ。
けれど私は妖精だから、夜這いは作戦のひとつとして続ける。こんなところで諦めたりはしない。
その日の夜も、妖精の通路を通ってフィオンの寝室へと潜り込んだ。
朝からずっと会っていなかったこともあり、めちゃくちゃ怒られたらどうしよう、今度こそ嫌われるかもしれない、と怖気付いてしまったが、フィオンにもっと私のことを意識してもらうには大人しくしていては駄目だと自分を奮い立たせる。
それにもし今日もキスできなくても、フィオンの寝顔を眺めて帰ってくればいいのだし。なんて考えて、もう最初から諦めモードな気持ちでいる事に反省した。
さて昨日と同じ時間ということもあり、フィオンはもう布団の中だった。