お願いだから、キスしてください!〜妖精だけど人間に恋をしています〜
目を開くとフィオンは真っ直ぐ私を見下ろしていた。少し悲しそうな瞳で。
「また、戻ってきてくれるのか」
私、またここに来てもいいんだ。そう思えた言葉だった。
「そう言ってもらえて嬉しい。私はフィオンを諦めたくないよ。好きだから一緒にいたい。きっと戻ってくるわ」
私は元気づけるように、力強く答える。だって私の方がずっとずっとお姉さんなんだから。
にこっと笑いかけると、フィオンがそっと屈んできた。急にフィオンの顔との距離が近くなる。
フィオンの手が私の髪に触れる。
二人の間の空気が特別なものになってゆくのがわかった。
私を見つめるフィオンの深い緑の瞳の中に私がいる。
そう。私はずっとそこに閉じ込められていたのね。なんて幸せなことでしょう。
泣きそうになりながらも、私はフィオンから目が離せない。
これは、キスしてもらえるんだ。
そう感じた途端に、また体が固まってしまった。