狂い咲きの蝶
☆★☆
『蝶』
ちょうちょ、ひらひら、僕の周りを舞って
ちょうちょ、ひらひら、追いかければ逃げてしまう。
あたたかい春をくぐって、山へ登り風に乗る。
真っ白な君が、だいすき。
☆★☆
冬に羽化した蝶は、寒さに耐えきれずに死んでしまう。
子孫を残せずにただ孤独に生涯をとじる。
…杏音は、まるで冬の蝶のようだった。
もう5月の半ばなのに、杏音は小刻みに震えている。
でももう遠くからしか見ることができなかった。
杏音を守れなかった僕に、もう杏音のそばにいる資格はなかった。
☆★☆
『バッタ』
飛べないバッタは、きっとバッタじゃないよ。
だけど、飛べないバッタだっている。
足が一本足らなくて、飛べないバッタはどうすればいいの?
☆★☆
小学校の時に書いた飛べないバッタは、僕のことだ。
飛べないバッタはバッタじゃない。
どうせ蝶とは違う世界に住んでいるんだ。
だってホラ…。
『ごめんね、すぐる。
私、やっぱり何もわかっていなかったみたい。
私…彼氏とかそういうのはまだ早かったみたい。
ありがとう。』
小さくてきれいな星模様がちりばめられているメモ用紙。
丸くて整った小ぶりな字で淡々と書かれていた別れの言葉は、僕をやさしくゆっくりと奈落の底へ突き落としてきた。
『蝶』
ちょうちょ、ひらひら、僕の周りを舞って
ちょうちょ、ひらひら、追いかければ逃げてしまう。
あたたかい春をくぐって、山へ登り風に乗る。
真っ白な君が、だいすき。
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冬に羽化した蝶は、寒さに耐えきれずに死んでしまう。
子孫を残せずにただ孤独に生涯をとじる。
…杏音は、まるで冬の蝶のようだった。
もう5月の半ばなのに、杏音は小刻みに震えている。
でももう遠くからしか見ることができなかった。
杏音を守れなかった僕に、もう杏音のそばにいる資格はなかった。
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『バッタ』
飛べないバッタは、きっとバッタじゃないよ。
だけど、飛べないバッタだっている。
足が一本足らなくて、飛べないバッタはどうすればいいの?
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小学校の時に書いた飛べないバッタは、僕のことだ。
飛べないバッタはバッタじゃない。
どうせ蝶とは違う世界に住んでいるんだ。
だってホラ…。
『ごめんね、すぐる。
私、やっぱり何もわかっていなかったみたい。
私…彼氏とかそういうのはまだ早かったみたい。
ありがとう。』
小さくてきれいな星模様がちりばめられているメモ用紙。
丸くて整った小ぶりな字で淡々と書かれていた別れの言葉は、僕をやさしくゆっくりと奈落の底へ突き落としてきた。