狂い咲きの蝶
だめだった…。

全身が一瞬でフリーズした。

いやなのに、いやって言えない。
逃げたいのに体が動かない。

まるで自分の体じゃないみたいだった。

…すぐる君の顔は見れなかったけど、“ショックだった”ってことが一瞬でわかった。

静かに私の隣の布団にもぐったすぐる君がかわいそうだった。
だけど、そうさせたのは私。

私は最低だ。
なんでこんなことに…。


…あれからもう9年たってるのに。


私の体に触れたすぐる君の指先が私を9年前へとひきずり戻した。


悔やんでも悔やみきれない。

あの事件は私のせいじゃないんだとなんとなくわかってるけど、
結局私はすぐる君を悲しませてしまった。
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