狂い咲きの蝶
思い出したくもない。
あれは私が小学一年生だったころ。

秋の遠足の後ぐらいの時期だっただろうか。

5時の鐘が鳴って友達の家から妹と自宅に帰ろうとした時だった。


いつも通るアスレチック公園の裏道。


私達は数人の男に連れ去られた。


あのときのこと…
覚えていない部分と、はっきりと覚えている部分。

ほぼ断片的な記憶しかないけれど、

すぐる君に触れられた瞬間、突然いろんなこと思い出して、
思わずパニックになってしまった。



中学まで…異性を避けて通ってきた。

…高校になったらなんともなくなるなんて甘い考えを持っていた自分が情けなかった。



熱海の宿をこっそり抜け出したのは明け方。
海が音を立ててくだけていた。

しばらく海沿いにたたずんでいると、規則正しい波音が心を癒してくれて、私の心を宿ではなく、駅のほうに導いた。



そして、ゴールデンウィーク明けから、地獄が始まった。
< 22 / 81 >

この作品をシェア

pagetop