狂い咲きの蝶
久しぶりに学校に初めて行ったとき、自分でも信じられないようなことがおきていた。


異性が、怖い。
今まででは考えられないくらい、怖い。

下駄箱でがやがや騒ぐ男子生徒の声を聞いたとき、思わずたじろいでしまった。

今までなんともなかったことが嘘みたいだった。
あの日をきっかけに、次々といろんな記憶がよみがえってくるようになってしまったらしい。

騒ぎ声、笑い声、男子特有の匂い

全部が怖くなった。


そして、すぐる君に関しては、顔すら見れなくなった。


すぐる君は私から離れていった。
だけど、心配してくれていることはなんとなくわかった。

時々注がれる視線が背中にあたってきて、それはすぐる君のものなんだな、って思っていた。

だけど、顔をあげることができない。
たとえ顔をあげても、下を向いてしか歩けない。


せっかくなった学級委員も、やめた。
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