狂い咲きの蝶
晴

少女だった

「女の子のハジメテってとっても痛いんだって。」

ちょっとませた雑誌の記事を囲んで、ひそひそ話をする私たち。

中学二年になって、恋の話だとか男の子の話だとかが盛んになってきて、いよいよこれから青春時代なんだなぁって思う。


だけど、私はこういう話はちょっと苦手。

つきあいでついつい相づちだけは打ってみるものの、あとあと絶対に後悔する。

「○○さんと●●君がつきあってるみたい」
「あぁ、早く彼氏が欲しいな」

みんな、恋の話には敏感で、いかにほかの子より情報を集められるか競争しているようにも見えた。

「私、初めては絶対に結婚する人とがいい。」

目を細めながら言う友人。
…いよいよ、私には辛い話題になってきた。

だけど逃げるわけにはいかない。
逃げると変に思われるから。

変に思われちゃいけない。気付かれちゃいけない。

私はきっとお墓まで秘密を持っていくんだろうな。
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表紙・目次

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