狂い咲きの蝶
放課後。
いつものように校庭でサッカーを楽しんでいるクラスメイトを横目に、僕はさっさと学校をあとにした。

塾の開始までには時間があるけれど、とりあえず学校にはいたくなかった。


「すぐる君!!待って!!」


振り返ると杏音ちゃんが走ってきた。
さすが女子のリレーの選手…。すぐに駆けつけてきた。

「これ、すごいでしょ!!…バッタ☆」

「…すごいね!」

手渡されたものをよく見ると、緑色の折り紙で丁寧に折られたバッタだった。よくできている。


「今ね、折り紙にはまってるんだ!マイブーム!もしよかったら今度、すぐる君も折り紙しようよ!」

そう言うと、杏音ちゃんは僕を追い越して走り去ってしまった。


…あ、ありがとうって言わなきゃ


そう思ってあわてて追いかけたけど、角を曲がった先にはもう杏音ちゃんの姿はなかった。
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