狂い咲きの蝶
「すぐる君の“すぐる”って“優”って書くんだね。」
「杏音ちゃんの“杏音”って“あんね”って読むんだね」

杏音ちゃんの気さくな性格にぐいぐい引き込まれていった僕は、いつのまにか学校が楽しくて、朝が来るのが楽しみでしょうがなくなっていた。


そして、問題のいじめは消えていた。


だけど男子と外でサッカーするより、こうして杏音ちゃんと話したり、折り紙したりする方がずっと楽しかった。


「ねぇ、すぐる君、明日は詩、教えて!」

「いいよ。でも明日から春休みだよ!」

「そうだ!!そしたら5年生になったら、ね!」

「うん!約束!」


約束したはいいけど、どう教えたらいいか僕にはまったくわからなかった。

実際、感じたまま、見たまま書いているだけなんだけどな…。

だけど、もし5年生になってクラスが杏音ちゃんと離れたとしても、また一緒に昼休みをすごせるのかと思うと、もう有頂天だった。

しかし、いざ春休みがおわり学年があがると

…蝶は消えていた。
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