狂い咲きの蝶
「アキコ、おはよう」
「……」

「!?」

翌朝、まるで昨日は何もなかったかのように挨拶をすると、アキコが凍りつくような冷たい目を向けてきた。

「理世…おまえチクったな。」
「え…?」

「大樹さん、今先生に呼び出されてる。…もう絶交だから。話しかけないでね。」

かすかに笑みを含んだアキコのその言葉は、恐ろしい現実の幕開けを意味していた。

予想していたとおり、その日の放課後、公園で緊急集会がおこなわれた。
大樹がいつまでも黙っている中、話し出したのはアキコだった。

「おまえ、あらいざらいを話せ。おい。」

全員の前に突き出された理世。

「…お…かね……」

何分か経った後につぶやいた理世に誰かの蹴りが入った。
それを合図に他の誰かが理世の長い髪の毛を掴みあげた。…シュウだった。


―――ツツツ…

一瞬冷たいような感覚があったかと思ったら頭の上からコーラの香りがした。炭酸が頭皮や顔にはじけて痛い。
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