狂い咲きの蝶
「一人で掃除しなくてよくなくなったのは、誰のおかげ?」
「…」

「いじめから開放されて、ふんぞりかえっていたのは、誰?」
「…」

大樹がガムをくちゃくちゃ噛みながら楽しそうに質問をぶつけてくる。

今になってやっと、自分がこのグループに入れられたわけがわかった。

「二千円ぐらいケチケチすんなよ。自分の保証料と思えば安いだろ。」

そう言ってケラケラ笑う大樹。まわりのとりまきも一緒になって笑った。

再び頭の上からコーラがかけられる。
どのぐらいの量だろう。目があけられない。うまく呼吸もできない。
しかしこう何人かに押さえつけられてると…動けない…。

「ごめんなさい、ごめ…んな…さ…い」

目があけられないまま、何度も何度もあやまったが、いっこうにやむ気配がない。


「おい、もうコーラがねーや。」

舌打ちが聞こえた。やっと目をあけることができた。
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