狂い咲きの蝶
結局、理世だけが小学校を卒業するまでの二年間は祖母の家から新しい学校にかようことで決着がついた。

理世は内心、歯がゆくて仕方がなかった。
…ただ悔しかった。自分はまた杏音に負けたのかと思うと、地団太を踏む思いだった。

体操着などの荷物をとりに、一日だけ、それも土曜の放課後遅くなってから学校に言った。この学校も今日で見納めだ。

理世がいなかったたった数日の間に、体操着は墨汁で染められており、上履きはカッターでずたずたにされていた。

アキコやクラスメイトはこれを見てショックを受ける理世の顔が見たかったのだろう。しかし理世はもうこの学校には来ない。不思議と笑みがこぼれてきた。

ボコッ!!!!

とりにきたはいいものの、使い物にならない上履きと体操着を勢いよくゴミ箱に捨てた。
その瞬間、心がいつぶりかわからないが晴れ渡った。

「ばいばーい」

最後にアキコの下駄箱を蹴飛ばすと学校をあとにした。


しかし理世は、その様子を息を凝らして見ていたアキコの存在に…

…気づく余地がなかった。
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