悠久の絃
「ああ。彼女はヤングケアラーだった。友和のお袋をずっと介護してたらしく、学校にも行けてなかったみたいでな。
それと、気管支喘息、腹の中に溜まった分泌物、恐らく心停止が原因の不整脈。あとはストレスによる不安障害。
まだ本人には喘息と腹のことしか言ってない。」


律「ふぅ。なるほどね。ようやく一連の流れが理解出来たよ。」





院長「あれは聞いたか?」


律「あれって何?まだなんかあんの?」


院長「律の弟、悠先生がその子の、絃ちゃんの里親になったんだよ。」


律「はああああ?!聞いてないよ!俺!」


だろうな。悠くん、これはいい判断だと思うぞ。



律「え!?じゃあ何?友和の娘ちゃんが俺の義妹になったってこと?」


「早まるな。絃ちゃんはまだ14歳だ。」


律「ほぇぇ。でも友和の事故からもう8年だもんな。俺未だに立ち直れなくなる時あるよ。
golden ageと呼ばれてた俺たちのトップが突然いなくなってさ。当時は目の前が真っ暗になっちゃったよな。今でも友和の凄さを実感するよ。」


院長「言っとくけど、俺ら以来のgolden ageが悠先生達だからね。彼らは素晴らしいよ。研修医ながらもそろそろ1人でオペできる者が大半だ。負けるなよ。」


律「負けるわけないだろ。俺が帰るまでの1ヶ月、ミッチリ鍛えてやるよ。」


「今回は1ヶ月いるんだな。救急も鍛えてくれよ。」


律「もちろん!昼は外科で夜は救急に行くよ!」


院長「休むために帰国したんだろ。1週間はちゃんと休め。それと、各医局に顔出しとけよ。」


「ついでに絃ちゃんにも顔出しとけよ。律と話したがってたぞ。」


律「そうなのー??嬉しい。悠と綾(アヤ)にも会いたいし、明日か明後日に小児科に行くよ。」


院長「じゃあとりあえず解散!また飲み行こう!」


「だな!」


律「賛成!!」



またな!といつもの挨拶をして解散した。














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