悠久の絃
発作は落ち着いたが、意識はしばらく戻らないので医局で上宮先輩と治療計画を見直した。


「やはり、喘息の治療を最優先にすべきだと思います。喘息が落ち着かなければお腹の治療もできなさそうですし。」


「俺は主治医じゃないからな。最終的に判断するのは樹なんだからいいと思うぞ。ただな、その場合病室をどこにするんだ?
あの子の場合、小児の設備じゃでかい発作が起きた時の対処が遅れる。だからって呼吸器内科に置けば腹に異常があった時は産婦人科で治療するからそっちの対処が遅れる。」


「うーん。俺は、小児でいいと思います。呼吸器内科から先生が1人来てくれるそうです。その時に器械を持ってきてくれるそうなので、大丈夫だと思います。それに、産婦人科は1個下の階なのですぐ対処出来ます。」


「そうか。呼吸器内科から来てくれるなら安心だ。腹の治療の時はいつでも呼んでくれ。救急は今のところ人手足りてるし、樹はまだ産婦人科の治療が1人前ってわけじゃないだろ。」


「ありがとうございます。上宮先輩、どこでそんなに色んな科を鍛えてるんですか」


「救急で色々勉強するからな。基本的にはなんでもいける。まあ、さすがに脳外科と心臓外科は無理だけどな。
で、悠はなにかないの?」





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