悠久の絃
〜赤城side〜


なんとか自力でシャツを上げてもらえた。
掌でチェストピースを暖めてから胸に当てた。が、一瞬ビクッとして呼吸が浅くなる。


「いとちゃん、ゆっくり深呼吸。」


声をかけると心拍もゆっくりに戻ってきた。肺は相変わらず喘鳴が酷いがそれ以外の異常はなさそうだ。


「ありがとう。じゃあシャツ戻していいよ。」





さて、どうしようか。このまま説明してもいいけど、その後がな。今日は治療する気なかったけど、思ったより喘鳴酷い。やはり今日から吸入させた方がいいな。


夜星先生と椎名に連絡しとこう。
ちょっとごめんね、と声をかけ、廊下に出た。
PHSを取り出し、まず夜星先生に電話をかけた。




「赤城です。絃ちゃん目は覚めましたが、思ったより喘鳴が酷いので今日から吸入始めます。」


『了解。吸入終わったらまた連絡ちょうだい。上宮先輩へは俺から連絡しておく。』


分かりました、と言って通話を切った。



次に椎名に電話をかける。


「ごめん。僕、悠。今からあの子吸入させたいんだけど大丈夫?」


『ああ。大丈夫だと思う。瀬堂先生に伝えとくから。』


「ありがとう。30分後に行く。」


2人にコンタクトを取ったので急いで部屋に戻る。






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