悠久の絃
悠くんの住んでいるマンションはほんとに近い。10分歩けばもう着く。

エレベーターに乗って、159号室のインターホンを鳴らす。


出ない。もう一度鳴らしたけど出ない。

悠くんからもらった絃ちゃんの連絡先に電話しても、出ない。



鍵は開いているから、お邪魔します、と一応言って中に入った。


良かった。靴はある。


お風呂かな、と思って脱衣場の前を通ったけど電気がついてない。

リビングの扉を開けた。



「絃ちゃん?!」


びっくりした。絃ちゃんがテレビの前の床で寝ていた。
慌てて駆け寄り、脈拍と心肺音を確認した。
喘鳴が聞こえるが、それ以外は問題ない。


「絃ちゃん、起きて。こんなとこで寝たら風邪ひくよ。」


ゆっくりと目を開けた絃ちゃんは??という顔をした。


「あれ、瀬堂先生、?」


「悠くんから聞いてない?僕が来ること。」



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