悠久の絃
さて、何を作ろうかな。
見た感じお腹すいてなさそうだしな。うどんとかあるかな。

人んちの冷蔵庫を見るのは良くないってわかってるけど、やむを得ないよね。


とりあえず俺のはいいや、と思って絃ちゃんの分だけ作っていると、発作のような音が聞こえる。
急いで火を止めて、絃ちゃんの所へ行った。

案の定発作が起きていて、床の上でまるまっている。


「絃ちゃん、落ち着いて。ゆっくり息吸って。薬どこにあるかな?自分の部屋?」


「ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...へや、、の、リュック、、のなか、、ゲホッ」


「教えてくれてありがとう。待っててね。」



絃ちゃんの部屋に入って、リュックから薬を出した。


「絃ちゃん、お薬入れるからお口開けて!」


何度か声をかけて吸わせようとするけど、全く薬が入っていかない。

「絃ちゃん、意識飛ばさないで!お目目開けててね!」


まずい。リリーバーじゃ対応できない。
と思った時、ようやく発作が落ち着いてきた。


「そのままゆっくり深呼吸しようね。もしもしするよ。」


もちろんさっきよりも騒がしくなった心臓と肺は、黄色信号だった。
多分熱も出てくるだろうし、今から救急行った方がいいかな。今日は先輩が当直だし。でも、嫌がるよね。一度聞いてみるか。


「絃ちゃん、今さ、結構大きめの発作が出たでしょ?だから、これから病院に行こうと思うんだけど、いいかな?」


絃ちゃんは首を小さく降って

「ハァハァ、や、です。、ケホッ、、」


と。


そうだよね。やだよね。ただ点滴した方が楽だと思うんだけどな。


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