悠久の絃
〜絃side〜


悠先生が部屋を出ていってしまった。早速夏くんと2人きり。自分から話しかけるのは何か違う気がして黙っていると、夏くんが話しかけてくれた。


「絃ちゃんは、悠先生のこと怖い?」


「…怖いっていうか、まだ、わからないから」


「そうだね、わからないよね。でもね、悠先生、絃ちゃんのことずっと心配してたよ。いつ起きるかわからないからって時間があれば見に来てたし、意識は無くても聞こえてるかもしれないってずっと話しかけてたの」


「……そうなんだ。わたし、さっき腕叩いちゃった」


「叩いちゃったのは仕方ないよ。僕だって何されるかわからないのに体触られるの嫌だよ。
悠先生はね、絃ちゃんが思ったことはどんどん言って欲しいんだって。それを僕に言ってくるから照れ屋さんなの。笑」


「照れ屋、さん。悠先生、夜星先生と一緒にいるから怖い人だと思ってた。」


「ふふっ、怖い人か。大丈夫、夜星先生もだけど優しい先生だよ。
それにね、悠先生は末っ子だから。お兄ちゃんとお姉ちゃんがいるんだよ」


「三人兄弟?みんなお医者さんなの?」


「そうだよ。悠先生のお兄ちゃん、今はアメリカにいるんだよ。すごくない?」


「アメリカ……すごい!」





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