悠久の絃
〜上宮side〜

過呼吸か。異常なほど呼吸が浅くて速い。
声をかけても全く届かない。


「絃ちゃん、ゆっくり深呼吸だよ。」



背中をさすってみるけど、全く効果がなく、半狂乱になっている。



「絃ちゃん、ちょっと苦しいけど、一旦落ち着こうな。」


ハンカチを口に当ててやると、段々と呼吸が戻ってきた。




「絃ちゃん?今どんな感じする?体、どっか変とかある?」

自分で一呼吸置いてから腕が変、と。 


「どんな感じで変かな?動きずらい?」


頷いた。

過呼吸、腕の痺れ、硬直、パニック症状。

過換気症候群かな。


「苦しかったな。もう大丈夫だよ。」



発作が治まった頃、夜星と椎名くんが一緒に来た。


夜星「また発作起きました?」


「いや、喘息じゃなくて過呼吸。多分、不安障害じゃなくてHVSだと思う。
過呼吸、腕の痺れ、硬直、パニック症状、全部ある。」



夜星「麻河先生に連絡入れときます。
で、なにか聞けました?」


「家に帰りたいの一点張り。悠に会いたくて部屋飛び出しちゃったみたいだよ。」



夜星「なるほど。

絃ちゃん、上宮先生の言ってること本当?そうだったらそのまま悠先生に伝えるよ。」



また頷いた。

悠との信頼関係はかなり築けているみたいだ。



椎名「俺から悠に言っときます。あと、俺今日休みで一日ここにいるんで先生たちは仕事戻って大丈夫ですよ。」


「ほんと?じゃあお願いするね。」



夜星「ありがとね。今日結構キツキツだったから助かる。」



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