悠久の絃
お父さんとお母さんは私が4歳の時に離婚して、それからお父さんとおばあちゃんと暮らしていた。でも、6歳の時にお父さんは仕事中の不慮の事故で亡くなった。

そこから歯車が一気に狂い出した。




3人で暮らしてた時もお手伝いはしていたけど、おばあちゃんが認知症を発症してからは全て1人でやらなければならなかった。

幸い、お父さんの遺産で何とか生活できていたけれど、当時8歳の子供にはとても重くて苦しい試練だった。その時から学校を休みがちになって、もう何年も学校に行けていない。
中学校の制服も、一応袖を通してみたけど、どうせ行けないんだから虚しくなるだけだろう思って捨ててしまった。


学校にも行けない。友達も、信頼できる人もいない。生きることへの希望もない。

そういえば、お父さんはどんな人だったっけ?いつも電話がかかってきて、すぐに家を飛び出していった。
たまに休みの日があると職場の人を連れてきて一緒に遊んでもらった気がする。でも、顔も声もだんだん記憶が薄くなってくる。



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