悠久の絃
吸入室、と書かれた部屋の前まで来た。
椎名先生が扉を開けると、中には機械のようなものが並んでいる。


中に入って、悠先生が1番奥の機械の前で車椅子を停めた。

夏くんが機械の電源を入れると、音が鳴って白い煙が出てきた。


椎名「この機械から出てる煙を吸って喘息を治していく。今はこれしか治療法がないから頑張って」


え、煙を吸うの?無理無理無理。そんなの苦しいに決まってるじゃん。それにお父さんは煙吸っちゃダメっていう言ってたし、やだ。
首をぶんぶんと横に振って、


「お父さんが煙は吸っちゃダメって言ってた。」


と言うと、悠先生、瀬堂先生、夏くんは笑い始めるし、椎名先生は「は?」って顔をした。



瀬堂「笑ってごめんね。でも、こんなに嫌そうな顔をする子は初めて見た。多分、お父さんが言ってた煙は火事とか、煙草の煙だね。確かにそういう煙は吸っちゃダメだけど、このモクモクは吸っても大丈夫だよ。」


瀬堂先生が説明してくれた。


赤城「大丈夫。この白いモクモクは吸ってもいいよ。最初は苦しいかもしれないけど、だんだん楽になるよ。
ここに口、つけてみな。」





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