悠久の絃
悠先生が指をさしたマスクのようなところに口を当てると、一瞬で苦しくなった。

咳が止まらない。止めようとして息を吸うけど煙が入ってきて余計に苦しくなる。頭を離そうとするけど、夏くんが抑えていてずっと吸わなきゃいけない。誰かが背中をさすってくれるけど、煙で視界が曇ってよく分からない。


瀬堂「絃ちゃん!目、目をしっかり開けて!」


前から瀬堂先生が声をかけてくれる。でも、苦しい。苦しすぎる。目なんて開けられない。
ずっと咳が止まらないし、煙が追い打ちをかけてくる。

まともに呼吸できていないのが分かる。次第にヒューヒューと変な音が出てきた。




その瞬間、パチンと音がして煙が消えた。


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