悠久の絃
椎名「ゆっくり深呼吸して。深呼吸しないと余計苦しいぞ。」


椎名先生の冷たいけど、優しい声が聞こえた。
その声に従って深呼吸を繰り返した。
息が整ってくると、ずっと背中をさすってくれていたのが椎名先生だとわかった。


椎名「瀬堂先生、今日はここまでにしましょう。初日にしてはよくやった方です。」


瀬堂「そうだね。じゃあ、最後に診察して帰ろう。」


はい、と椎名先生が言って隣の部屋に移動した。

隣の部屋には小さなベッドやパソコン、椅子、カゴなどが置いてあった。

夏くんがふたつあるうちのひとつの椅子に私を座らせてくれた。


瀬堂「じゃあもしもしさせてね〜」


と言って瀬堂先生がもうひとつの椅子に座って、私をもしもしした。次に椎名先生、悠先生の順番でもしもしした。
最後に椎名先生が、


椎名「吸入は毎日やるから毎日ちゃんと来いよ。悠でも、夏でも、夜星先生と一緒でもいいからちゃんと来い。来なかったら俺が行く。」


と言って私は小児の部屋に帰ることになった。










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