悠久の絃
部屋に戻る間、戻ってからも本当に嫌だった。あんなに苦しかったのに毎日なんてやりたくない。

椎名先生、一瞬優しいかもって思ったのに全然優しくない。悠先生も、だんだん楽になるとか言ってたのに全然楽にならないし。夏くんも、瀬堂先生も、苦しいのにやめさせてくれなかった。



部屋に戻って、また後で来るねって赤城先生と夏くんが出ていったあと、私は1人で泣いていた。そしてそのまま眠りに落ちた。





〜赤城side〜


いとちゃんの治療が終わり医局に戻ると、夜星先生と上宮先生がいた。


夜星「赤城先生!お疲れ様。」


上宮「お疲れ様。どうだった?」


「ちょっと厳しいですね。吸入も2分したところで発作が起きかけて、喘鳴もかなりしています。」


夜星「そっかー。今は部屋にいるんだよね?寝ちゃったかな。」


「だいぶ疲れてたので寝てると思います。お昼ご飯の時に見に行ってみます。」


上宮「それがいいね。椎名先生はなんて言ってた?」


「毎日吸入させろとの事です。毎日って言われた時のいとちゃんの顔が絶望した時の顔だったんですよ。やっぱり精神的にもキツくなると思います。」


夜星「絶望した時の顔、か。お昼食べたら気分転換と昼寝予防を兼ねてお散歩でも行ってきてくれる?俺午後から外来だから。」


「そうですね。中庭まで行ってきます。」


夜星「うん。よろしくね。」


程よく会話が切れたところで医局長の入島鼓(イリジマ ツヅミ)先生が夜星先生と上宮先生を呼んだので、僕も仕事に戻った。


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