悠久の絃
慈良「ご飯持ってきたよ〜。」


夏ナイスタイミング!


「よし、いとちゃん、食べようか。いとちゃんは平均より20キロくらい体重が低いから頑張って食べようね。」


とりあえず目標を伝えてから食べさせた。



結構食べてる気がする。いとちゃんからするとかなり多いと思ったけどそうでもないみたいだ。
じーっと眺めてると


絃「悠先生も食べたいの?」

と、いとちゃんが聞いてきた。


「ううん。ちゃんと食べてえらいな〜って思ってただけ。」


そういうといとちゃんはまた食べ始めた。
30分かけて完食。


「全部食べられて偉いね。お腹すいてた?」


絃「お腹はあんまり空いてなかったけど、出されたら残しちゃダメでしょ?」


「そっかそっか。すごく辛かったら無理しないでいいからね。1時間くらいしたらお散歩行こうか。」


絃「うん!」


目が、すごくキラキラしている。そんなにお散歩楽しみかな?
そんなことを思っていると、いとちゃんが質問してきた。


絃「悠先生ってお兄ちゃんいるんでしょ?どんな人?」


僕じゃなくて兄ちゃんのことかい。


「いるよ。多分、誰がどう見ても変な人。アメリカ帰りだからね、ずっとアロハシャツ来てるよ。この病院に来た時に教えてあげるよ。」


絃「やっぱり会うの楽しみ!アロハシャツって可愛いやつだよね!テレビで見たことある!
あとさ、悠先生と椎名先生はなんで夏くんのこと夏って呼ぶの?」


「それはね〜、3人とも同い年だからだよ。大学生の時から友達なんだ。小児にも僕と同期の双子の先生がいるんだよ。お散歩の時に紹介してあげる。」


絃「なんか同い年って意外。双子先生も見てみたい!」


「じゃあ僕からの質問ね。いとちゃんは何かしたいことある?」


絃「……わかんない。けど、学校、行ってみたい」


そうだよね。ずっと行けてなかったもんね。行きたいに決まってるよね。


「夜星先生に伝えてみるよ。もしかしたら病院から分校に行けるかもしれないよ。聞いてみるね。」


また、いとちゃんの目がキラキラしている。

そんな他愛のない会話をしていると1時間経っていた。
夏にまた車椅子を持ってきてもらっていとちゃんを乗せ、出発した。


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