悠久の絃
夜星「はい夜星です。うん。うん。とりあえず胸部レントゲン撮ろう。今から行くから。吸入も用意しといて。」


入島「どうした?」


夜星「絃ちゃん、39度3分の発熱で喘鳴が酷いそうです。」


瀬堂「僕も行くよ。今朝からの疲れが出ちゃったかな。」


発熱?!僕が部屋を出たときは異常は見られなかった。何があった。僕も行くしかない。


「僕も行きます。」


夜星「いや、悠先生は院長先生の話を聞いておいて。俺と瀬堂先生で行く。
院長先生、すみません。病棟に戻らせていただきます。」


院長「ああ。すぐに戻ってあげてくれ。」


失礼します、と言って2人が出ていった。



院長「それでは、この場にいる全ての人間が保証人となります。この事が決定したら明日、警察の方々が書類を持ってくるのでそれが最終決定です。

あまり時間がなくて申し訳ない。
今一度、異論があるか確認しよう。
何かある方いますか?」


副院長「赤城医局長、悠先生が引き取り手となった場合、親族の支えは必要不可欠です。ご承知頂けますか?」


赤城父「ええ。大丈夫です。うちは悠の自宅とそう離れておりませんし、何かあれば私や、律、綾、家内が駆けつけます。こちらもできる限り支援します。」


父さんがこんなに考えてくれていたなんて知らなかった。いざとなったら父さんと母さんだけでなく、兄ちゃんも姉ちゃんも来てくれる。

安心なんて言葉じゃ覆いきれない程の包容力が父の言葉から感じられた。


院長「では、決定と致します。会議が2日も続くなんて珍しかったですね。お疲れ様です。
悠先生、絃ちゃんの所へ行ってあげなさい。」


「はい。ありがとうございます。」


僕は会議室を出て4階小児科病棟へ向かった。









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