悠久の絃
??「…〜ん、…ちゃ〜ん、いとちゃ〜ん。そろそろ起きなよー」


誰かがずっと私を呼んでいる。何回も何回も私を呼んでいる。さすがに少し鬱陶しく思ったので少しずつ目を開けた。


??「あ、、!起きた!いとちゃんおはよう!」



誰なのこの騒がしい人は。

ああ、でも私は死ねなかったのか。

知らぬ間に溢れた涙に、その人は気づいてくれた。


??「どうした?!身体痛いかな?さっき痛み止め入れたんだけど。」


痛い訳では無いから首を横に振る。その人は「そっか」と言って微笑んだ。優しく目元を拭いてくれて、頭を撫でてくれた。

身体が痛いんじゃない。心が痛いんだよ。

でも、初めて感じた人の優しさにさらに涙が溢れてしまう。


??「いとちゃん。泣かないで。泣くと呼吸が苦しくなっちゃうよ。深呼吸しよう。吸って〜、吐いて〜、吸って〜、吐いて〜。ん、上手!」


ようやくまともに息をすることが出来た。


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