悠久の絃
「んっっ、、、!ゲホゲホ、、、、んぅ!」


苦しい、苦しい、苦しい。自然と目から涙が溢れる。


瀬堂「絃ちゃん、苦しいね、もうちょっとだから噛まないでお口開けててね。」


「ゴホッ...ヴ...ゲホッゴホッゴホッ...」


上宮「頑張ったな。全部抜けたよ。」


瀬堂「頑張ったね。酸素マスクつけるから深呼吸ね。」


苦しかった。涙が止まらない。
瀬堂先生はベッドを起こしてくれて、上宮先生は背中をさすってくれた。
ようやく呼吸が落ち着いたのは10分くらいしてからだった。


瀬堂「絃ちゃんよく頑張ったね。数時間で抜けるなら挿管しなくても大丈夫そうだったね。」


マスクは私には大きくてマスクが曇ると私の視界も曇ってしまう。でも、上宮先生と瀬堂先生の表情はよく分かる。2人とも優しい顔で安心する。

でも、悠先生が見えない。さっきまでいたのに。
多分、寝ている間ずっと手を握ってくれていた悠先生にありがとうって言いたい。


「ハァハァ…悠先生、どこ?」


瀬堂「悠先生ね、今廊下にいるから呼んでくるね。」



すぐに悠先生が来てくれた。


赤城「抜管、頑張ったね。お疲れ様。処置の時は外に出ててって瀬堂先生に言われてたの。そばに居てあげられなくてごめんね。」


悠先生はいつもと違かった。さっきは顔しか見られなかったけど、今は全身が見れる。いつもは紺色の服に白衣を着てるのに、今着ているのは私服。髪の毛も、いつもはセットされてるのに今はふわふわしてる。


赤城「ああ、びっくりしちゃうよね。昼の時と違うから。もう仕事は終わって着替えもしたんだけど、色々あってまだ病院にいるの。
今日は本当に疲れたでしょ?もう日付も変わってるから寝よ?」


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