悠久の絃
夜星「嬉しいな〜覚えててくれたんだ。早瀬先生の真似して樹、唯弦、一己って呼んでくれたんだよ。

早瀬先生に色々話を聞きたかったんだけど、絃ちゃんが『樹ー!遊ぼー!』って言うから全然聞けなかったんだよね。
唯弦も嬉しかったんだろうね。自分で気づかせたかったのかな。」


「夜星先生と、瀬堂先生と、上宮先生は、いとちゃんと面識があったってことですか?」


夜星「そうだよ。俺と唯弦が1年目の時だね。だから救急搬送されてきた時、同姓同名の子だと思ったんだけど、顔を見たら絃ちゃんだった。ほんとびっくりしたよ。」


夜星先生は笑いながらお弁当箱を片付けて、コーヒーを飲んでいる。
僕としては全く笑えない。



夜星「午後は5時から吸入ね。その後鶴川先生が来て軽く問診とか病状説明するみたい。午後は外来ないから絃ちゃんと少し話してくるよ。赤城先生、今後の研修の予定は?」


「えっと、とりあえず8月いっぱいまでは小児科で、9月はNICU、10月は呼吸器内科、11月は児童精神科、12月は小児外科、1月から3月はまた小児科です。」


夜星「必修はもう終わってるのね。」


「はい。1年目の時に全て行きました。」


夜星「了解。じゃあまた後で。」


そう言って夜星先生はいとちゃんの病室へ行った。
僕はプレイルームで絵本を読み聞かせしたり、採血や検査オーダーを出したりして今夜の予定を立てていた。




16時。カルテを記入しているとPHSが鳴った。

スクールバスの横転事故があり、生徒たちをうちで全て受け入れることになったから応援に来て欲しいという救急からの連絡だった。

すぐ行きます、と言って医局を飛び出した。













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