悠久の絃
上宮「14歳の、性に関する知識が全くない女の子に無理矢理あの治療をさせるのは俺も怖い。悠が怖いように、樹も、鶴川も怖いと思うぞ。
でも、それが彼女を苦しめない唯一の方法だろ?もちろん1番手っ取り早いのはオペすることだけど、それに持ち堪える体力は彼女にないんだよ。だから、やるしかないの。
きっと大丈夫。絃ちゃんは友和の娘だから。
俺さ、すっごくショックだったの。元気に走り回って、すごくおしゃべりで、いつも笑ってた子が体も心もボロボロになって、救急搬送されて来るなんて、8年前は考えもしなかった。
でも、彼女はきっと強い。大丈夫。絃ちゃんならこの治療も頑張れるよ。それに、1番怖いと思ってるのは絃ちゃんのはずだよ。悠、今日から保護者なんでしょ。
本当に無理そうだったら入らなくてもいい。でも、最初はそばにいてあげなよ。」
そうだ。僕もすごく怖いけど、いとちゃんはもっと怖いに決まってる。
ある日突然病院に運ばれて、家にも帰れない、家族にも会えない。それに加えて痛くて苦しい治療、検査。怖くないわけが無い。それなのにそばにいてあげないなんてどうかしてる。
「僕、どうかしてましたね。今から少し話してきます。」
上宮「待て待て待て。小児の消灯時間は過ぎただろ。それに定時も過ぎてる。マンションまで送るからもう帰るよ。」
「すみません。ありがとうございます。」
上宮「30分後に職員玄関で待ってるから。」
はい、と返事をして医局へ戻った。
でも、それが彼女を苦しめない唯一の方法だろ?もちろん1番手っ取り早いのはオペすることだけど、それに持ち堪える体力は彼女にないんだよ。だから、やるしかないの。
きっと大丈夫。絃ちゃんは友和の娘だから。
俺さ、すっごくショックだったの。元気に走り回って、すごくおしゃべりで、いつも笑ってた子が体も心もボロボロになって、救急搬送されて来るなんて、8年前は考えもしなかった。
でも、彼女はきっと強い。大丈夫。絃ちゃんならこの治療も頑張れるよ。それに、1番怖いと思ってるのは絃ちゃんのはずだよ。悠、今日から保護者なんでしょ。
本当に無理そうだったら入らなくてもいい。でも、最初はそばにいてあげなよ。」
そうだ。僕もすごく怖いけど、いとちゃんはもっと怖いに決まってる。
ある日突然病院に運ばれて、家にも帰れない、家族にも会えない。それに加えて痛くて苦しい治療、検査。怖くないわけが無い。それなのにそばにいてあげないなんてどうかしてる。
「僕、どうかしてましたね。今から少し話してきます。」
上宮「待て待て待て。小児の消灯時間は過ぎただろ。それに定時も過ぎてる。マンションまで送るからもう帰るよ。」
「すみません。ありがとうございます。」
上宮「30分後に職員玄関で待ってるから。」
はい、と返事をして医局へ戻った。