悠久の絃
部屋に戻るとベッドは綺麗に直されていて、朝ごはんも置かれている。


椎名「昨日は昼も夜も食べてないんだろ。食べないと点滴増えるぞ。」


椎名先生と話して少しスッキリしたけど、またあの記憶が思い出される。

気持ち悪い。
食べられない。



「ハァハァ…ヒュッ…ゲホッッ…ヒューヒュー…ヒュッ…ハァハァ」


椎名「思い出しちゃったか?出そう?」


コクッ


椎名「ちょっと待って。」

はいっとカップとビニール袋が口元に来た。


「ヴッ…オエッ…ゲホゲホッッ…オエッ…オエッ…」


当然出てくるのは胃液だけ。

椎名先生は誰かに電話をかけている。

その電話を切った後、また背中をさすってくれる。



コンコンっと扉がノックされ、誰かが入ってきた。
でも、カップから目を離せないから誰が来たのか分からない。


椎名「そのまま繋いで。マスクも用意して。

今吐き気止め入れたから。息が出来ないと発作も起きるからマスク付けるぞ。」


「ゲホゲホッッ…オエ…や、だ…ヒューヒュー…ハァハァ」


椎名「嫌じゃない。今苦しいだろ。」


苦しいよ。すごく苦しい。もう、やだよ。


「ヒューヒュー…ゲホゲホッッ…ゴホッ...ヴ…ハァハァ…ヒュッ」


椎名「落ち着いて。意識して息を吸いなさい。」


「ハァハァ…ヒュッ…ハァ…ハァハァ…ヒュッ」



椎名「そう。ちゃんと息を吸うの。
悠、夜星先生はこの状態でも飯食わせるか?」


赤城「いや。ここまで来たらもう点滴。」


椎名「よかった。じゃあ点滴入れよう。」




椎名先生、誰と話してるの?

どうしよう。気持ち悪いのが無くなってきて眠い。少しだけ寝させて。












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