芸能人と恋愛しちゃいます!?
出会い
「藤木さん……落ちちゃったよ……。わたしの何がダメで、受かった子の何がよかったのかなぁ……っ。何が違ったのかなぁ……っ。」
結果発表後、わたしは藤木さんの胸で泣いた。泣いて泣いて、泣きじゃくった。
「そんなんで、くじけちゃダメよ。まだはじめてのオーディションだもの。上手くいかなくて、当然よ。次、がんばりなさい。」
藤木さんは、そう言った。そしてその後。
「……まあ、でも。今回も、よく頑張ったわね、花織。」
頭を優しく撫でてくれた。
頬に流れた涙が、あたたかかった気がした。
*
次のオーディションがきた。
あっという間だったけれど、わたしは成長した。
今日のオーディションで演じるのは、「雪の女王」。
この間と同じように、深く呼吸して。
藤木さんに「行ってきます!」と元気よく言った。
面接は、この前よりもハキハキと答えた。
そして、演技。
「……カイ‼︎ だいすきな、カイ‼︎ やっと、見つけたわ!」
あたたかい涙をこぼす。
「カイ、わたしよ……ゲルダよ……。わからないの……?」
悲しみで、冷たい涙をこぼす。
「––––さあ、わたしたちの家へ、帰りましょう!」
涙を流しながら、微笑む。
ありがとうございました。
こうしてわたしは、オーディションを終わらせた。
「花織、どうだった?」
「藤木さん! えへへ、バッチリ‼︎」
「すごいじゃない!」
二人で幸せを感じていた時。
「すみませーん。ちょっとその子、借りてもいいスかー?」
「え。」
男性の声。
わたしより、歳上っぽいけれど、おじさんではない声。
かっこよくて、甘い声。
姿を見た瞬間、わたしは驚いた。
さっきの面接官の一人だ––––。
「……なにか、御用ですか?」
慎重に、言葉を選ぶ。
「うん。いい?」
わたしは藤木さんと、目だけで会話する。
––––いいわよ。でも、嫌なことされたら逃げなさいね。
––––わかってる。ヘンなことはしないから。
「……行きましょう。」
わたしは、彼と歩いていった。
*
「––––ごめんね。」
「え。」
「急に知らないヤツに連れてこられて。ごめん、でもこれしか思いつかなくて。」
ごめんね?
これしか思いつかなくて?
わたしが疑問に思ってるのがわかったのか、彼はこう言った。
「実は、君におりいって、お願いがあるんだ。」
「は、はぁ……。」
わたしが曖昧な返事をすると、彼は苦笑いする。
そして、ニンマリと笑った。
「まず、俺のことは“匠さん”って呼んで。」
「わかりました……“匠サン”……。」
「あはは、堅いなー。」
“匠サン”は胡散臭そうに笑う。
うーん……。胡散臭すぎて、仲良くできない気がする……。
なんかこの人、苦手だー‼︎
もう、とっとと終わらせちゃお。
「ていうか、お願いって、なんですか。」
「うん。君に、臨時でお芝居に出てほしいんだ。『雪の女王』のゲルダ役で。」
……え?
臨時でお芝居に⁉︎ わたしでいいの⁉︎
し、しかも、主役だなんて……!
「なんで、わたしなんですか。」
テンパリすぎて、思わずクールぶっちゃう。
「えー。そんなの、君のお芝居が素敵だったから、以外、なにがあんの?」
……‼︎
わ、わたしのお芝居が、素敵……?
視界が歪みそうになって、あわてて出てきたソレを引っ込ませる。
「あ、ありがとう、ございま、す……。」
「なんでカタコト。」
“匠サン”はフハッと、不敵に笑う。
その姿が、あまりにも綺麗すぎて。
わたしは、言葉を失った。
結果発表後、わたしは藤木さんの胸で泣いた。泣いて泣いて、泣きじゃくった。
「そんなんで、くじけちゃダメよ。まだはじめてのオーディションだもの。上手くいかなくて、当然よ。次、がんばりなさい。」
藤木さんは、そう言った。そしてその後。
「……まあ、でも。今回も、よく頑張ったわね、花織。」
頭を優しく撫でてくれた。
頬に流れた涙が、あたたかかった気がした。
*
次のオーディションがきた。
あっという間だったけれど、わたしは成長した。
今日のオーディションで演じるのは、「雪の女王」。
この間と同じように、深く呼吸して。
藤木さんに「行ってきます!」と元気よく言った。
面接は、この前よりもハキハキと答えた。
そして、演技。
「……カイ‼︎ だいすきな、カイ‼︎ やっと、見つけたわ!」
あたたかい涙をこぼす。
「カイ、わたしよ……ゲルダよ……。わからないの……?」
悲しみで、冷たい涙をこぼす。
「––––さあ、わたしたちの家へ、帰りましょう!」
涙を流しながら、微笑む。
ありがとうございました。
こうしてわたしは、オーディションを終わらせた。
「花織、どうだった?」
「藤木さん! えへへ、バッチリ‼︎」
「すごいじゃない!」
二人で幸せを感じていた時。
「すみませーん。ちょっとその子、借りてもいいスかー?」
「え。」
男性の声。
わたしより、歳上っぽいけれど、おじさんではない声。
かっこよくて、甘い声。
姿を見た瞬間、わたしは驚いた。
さっきの面接官の一人だ––––。
「……なにか、御用ですか?」
慎重に、言葉を選ぶ。
「うん。いい?」
わたしは藤木さんと、目だけで会話する。
––––いいわよ。でも、嫌なことされたら逃げなさいね。
––––わかってる。ヘンなことはしないから。
「……行きましょう。」
わたしは、彼と歩いていった。
*
「––––ごめんね。」
「え。」
「急に知らないヤツに連れてこられて。ごめん、でもこれしか思いつかなくて。」
ごめんね?
これしか思いつかなくて?
わたしが疑問に思ってるのがわかったのか、彼はこう言った。
「実は、君におりいって、お願いがあるんだ。」
「は、はぁ……。」
わたしが曖昧な返事をすると、彼は苦笑いする。
そして、ニンマリと笑った。
「まず、俺のことは“匠さん”って呼んで。」
「わかりました……“匠サン”……。」
「あはは、堅いなー。」
“匠サン”は胡散臭そうに笑う。
うーん……。胡散臭すぎて、仲良くできない気がする……。
なんかこの人、苦手だー‼︎
もう、とっとと終わらせちゃお。
「ていうか、お願いって、なんですか。」
「うん。君に、臨時でお芝居に出てほしいんだ。『雪の女王』のゲルダ役で。」
……え?
臨時でお芝居に⁉︎ わたしでいいの⁉︎
し、しかも、主役だなんて……!
「なんで、わたしなんですか。」
テンパリすぎて、思わずクールぶっちゃう。
「えー。そんなの、君のお芝居が素敵だったから、以外、なにがあんの?」
……‼︎
わ、わたしのお芝居が、素敵……?
視界が歪みそうになって、あわてて出てきたソレを引っ込ませる。
「あ、ありがとう、ございま、す……。」
「なんでカタコト。」
“匠サン”はフハッと、不敵に笑う。
その姿が、あまりにも綺麗すぎて。
わたしは、言葉を失った。