【書籍化&コミカライズ】虐げられていた身代わり令嬢が呪われ王子に溶けるほどに愛されるまで
カトリーナは間近でシャルルを見るようになり、思ったことがあった。
シャルルは両親に愛されて望まれて生まれてきたのだと、それだけは理解できた。

カトリーナはシャルルを別次元の人間として見ていた。
美しいドレスもアクセサリーも美味しそうな食事も全てはシャルルのもの。
シャルルは輝かしい黄金の髪に夫人と同じ宝石のような真っ赤な瞳を持つ少女で、吊り目なところや気の強そうな部分がサシャバル伯爵夫人によく似ているような気がした。

一方、カトリーナは母が死んでから顔を見せることを禁じられていたため、前が見えないほどに伸ばした前髪でピンクブラウンの瞳を見えなようにしていた。
手入れしていないボサボサなホワイトベージュの髪は絡んでひどいことになっているため、いつも適当な紐でまとめていた。

シャルルはサシャバル伯爵夫人と同じようにカトリーナを扱っていた。
掃除、洗濯、雑用、繕い物、馬の世話……朝早くから晩までずっと働いて、仕事が終わらなければ食事を抜かれてしまう。
母と同じように細くなっていく手足。
自分も母のようになるかと思うと少しだけ怖かった。
しかし食事が何日も抜かれた日は、何故か屋根裏部屋に真新しい果物が置いてあった。
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